「金の鍵」ジョージ・マクドナルド作/岩波書店

読書記録をば。

 

とても美しい19世紀イギリスの児童文学です。

挿絵は20世紀アメリカの絵本作家センダックが時を超えて作成。

黒一色の銅版画っぽい細い線で描かれ、たいへんよく物語の雰囲気を伝えてくれま

す。

 

【あらすじ】

大伯母さんから聞いた「虹のたもと」にあるという金の鍵を見つけた男の子

モシーは、妖精の国の美しい女の人の家で出会った女の子タングルと共に、

鍵穴が合う錠前を探して旅に出ます。

途中はぐれてしまう2人でしたが、それぞれが自力で旅を続け。。

 

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読んでいる最中は夢中でページを繰ってしまい、読み終わった後、ほうっとため息

をついて自分がキラキラしたもので満たされた気持ちになります。

 

全然説教臭くはないんだけど、登場人物のセリフとかで、物語の全編に真実がちり

ばめられている感じ。それぞれの人が、それぞれの立場や段階で、受け取るものが

あるのでは、と思えます。

 

もちろん、そんな「意味探し」なんかしなくても読んでいて単純に楽しい。完全に

ファンタジーの世界に飛べる。でも読み終わった後には何か大事なものが自分の中

に残っている。。

 

理想的なお話じゃないかな、と思います。

 

妖精やら金の鍵やら空飛ぶ魚やら虹やらと、読んでいるだけで嬉しくなってしまう

ファンタジーの世界。そこに「香草とラベンダーの香りのする上質の麻の下着」と

か、イギリス風の素敵な生活アイテムも入ってくるのがたまりません。

 

もちろん、いじわるな召使とかも出てくるんですが、そういう描写にページをそん

なに割いておらず、ほとんど不快な気持ちになることなく読めます。

(日本のいじめとかを扱ったものは読んでいて辛いことが多いので)

 

全編爽やかでキラキラしてる。こういうお話が好きなんですよね~。

 

似たような印象を受ける作家にはエリナー・ファージョン、ジョーン・エイキンな

どがいます。ただし物語によっても違うので、それはまた今度。

 

世知辛い世の中に疲れた大人におすすめですが、子供が読むなら小学校高学年かな

~。

 

読める子なら中学年でも。